研究所員

Researchers

重藤 さわ子Sawako Shigeto

  • 事業構想大学院大学・教授
略歴と主要分野

京都大学農学部卒業、同大農学研究科修了。英国ニューカッスル大学、農業・食料・農村発展学部にてPhD取得(2006)。東京農工大学21世紀COEプログラム研究員(講師)、同大生物システム応用化学府、産官学連携研究員を経て、2008年より科学技術振興機構(JST)・社会技術研究開発センター(RISTEX)、アソシエイトフェロー。2013年4月から東京工業大学グローバルリーダー教育院特任准教授。2018年4月より事業構想大学院大学准教授、2023年4月より現職。
専門は地域環境経済学。PhD取得後、一貫して、持続可能な社会への移行に関する多分野横断型の研究開発プログラム・プロジェクトや地域の主体的実践支援に携わってきている。

最近の活動

準備中

メッセージ

2008年に福田内閣のもと、2050年までに国内の温室効果ガス排出量を現状より60-80%削減する方針が示されてから10年以上が経過しました。本研究所のメンバーやその仲間は、大幅な温室効果ガス削減と再エネへのエネルギー転換こそ、持続可能な地域社会を実現しうると考え、シナリオ研究や地域での実証的試行や諸所働きかけを行ってきました。しかし、我が国では3.11を経てもなお、石炭火力発電への依存度は依然として高く、原発に未練を残し、再生可能エネルギーに消極的な態度が続き、はがゆい思いもしてきたものです。その態度は国際的にも批判の対象となり、ついに我が国でも2050年までへの脱炭素戦略を掲げざるをえなくなりました。
政治・産業界では利権を巡り様々な思惑がうずまいているのだと思いますが、地域の現場では確実に脱炭素を、様々な地域の課題を分野横断・世代やレベル横断でつなげ、新たな地域づくりの次元へと踏み出す好機だと捉え動き出す、地域イノベーションの兆しが生まれています。我が国では17の目標がお題目のように紐づけられがちなSDGsも、その目標は2030年に世界が目指す世界、すなわちビジョンがそのように表現されたのであって、『これらの目標及びターゲットは、 統合され不可分のものであり、持続可能な開発の三側面、すなわち経済、社会及び環境の三側面を調和させるものである。』とその全文で説明されています。このように時代は確実に「調和」「共生」をキーワードに、これまでのシステムや関係性を見直し、持続可能な方向へ抜本的に刷新することが求められているのです。
欧州ではエネルギー転換は「エネルギーの民主化」とも説明されます。化石燃料が導入され、我が国全土が大規模集中型エネルギーの恩恵を受ける前には、内発的な地域エネルギー開発は地域活性化の源でした。我が国でも、地域の人々にエネルギーを取り戻し、新たな地域づくりのエネルギー(パワー)に。地域の現場で奮闘する方々の力になれるよう、取り組んで参ります。

主な業績
  • 重藤さわ子(2020)「地域活性化に資するバイオマス資源利用とその展望」再生と利用 44(163), pp.3-13.
  • 重藤さわ子,大島隆(2019)「脱FITの事業構想 -低炭素型地域社会移行への現実的な道筋の検討-」事業構想研究 2, pp.11-22.
  • 重藤さわ子,有田昭一郎,森山慶久,藤山浩(2018)「地域循環共生圏創造の可能性とその推進に向けて」環境論壇「第5次環境基本計画で示される社会の実現に向けて」環境経済・政策研究 11(2),pp.69-73
  • 重藤さわ子, 堀尾正靱(2018)「農山村における再生可能エネルギーの導入と内発的発展」小田切徳美・橋口卓也編『内発的農村発展論-理論と実践-』, 農林統計出版.
  • 重藤さわ子(2018)「第5章 地域の消費を変えてよりよい未来づくりを-長野県富士見町の事例から」藤山浩編著『「循環型経済」をつくる』農文協.
  • 重藤さわ子, 堀尾正靱(2016)「低炭素社会移行への現実的道筋の開拓:「創発的地域づくりによる脱温暖化プロジェクト」(JST-RISTEX)を事例にして (特集 創発的地域づくりによる脱温暖化プロジェクト) 」日本エネルギー学会誌 95(11), pp945-951.
  • 重藤さわ子,堀尾正靱(2016)「分野横断・「共-進化」型研究開発プログラムマネジメントとその検証」国際P2M学会誌 10(2), pp.22-38.
  • Masayuki Horio, Sawako Shigeto, Ryota Ii, Yukihiro Shimatani, Masato Hidaka. (2015) Potential of the ‘Renewable Energy Exodus’ (a mass rural remigration) for massive GHG reduction in Japan. Applied Energy160, pp623-632