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2023.01.27 ご挨拶

【2023年・年頭所感】堀尾正靱

 2023年、RISESはいよいよスタートアップ段階から次のフェーズへと新たな展開を進めます。
 そのためにも、まず昨年の振り返りをさせていただきます。
 昨年は、全国町村会殿と「地域のための脱炭素セミナー」を、実務家の方々とともに議論するというこれまでにない形で3回実施しましたが、回を重ねるごとに、この企画の焦点がはっきりしてきました。「脱炭素転換」を単なる上からの政策であるとか、流行であるとかといった見方をしている限り、地域のための「転換」への思考は動き出しません。今回の企画では、研究者と実務家が議論しあう形を採用することで、一方的な講義を聞くだけでは得られない臨場感が実現できつつあります。特に、第3回は、実務家の方々のお話を中心に、テーマも太陽光発電に限定して行い、上記の効果が最大限発揮できるようにしました。
 昨年は、図らずも、内閣府の地方創生ゼロカーボン推進事業を学校法人先端教育機構殿から再委託される形で支援することとなり、全国11の地域のゼロカーボンへの姿勢や取り組みを調査したり、支援したりすることができました。
 これらのほかに、「脱炭素の論点」(仮題)の出版準備は、当初予定より半年ほどの遅延はあるものの、約40名の著者に約100項目の解題をお願いし、ほぼ最終段階に入りつつあります。また、歌川学氏の地域の脱炭素シナリオに基づく、地域のシナリオ閲覧および構築のための情報プラットフォーム(「ワークベンチ」)の構築も佳境に入っており、β版を4月頃には開示する方向で作業を進めています。
 こういった形で、この3年の蓄積の上に、行政―地域―実務家―環境研究者―環境経済・社会学研究者-温暖化対策系工学研究者との連携を確立することができつつあります。このような連携の実績のある環境団体や研究所はおそらく稀有な存在であり、これから独自の役割を発揮していくことができるものと考えます。
 2023年は、これまでの蓄積の上に、開発してきたツールを最大限生かし、地域主体の脱炭素転換をアクションリサーチ的に進めていきたいと考えています。
 個人的には、今年は、父の没後50年、農工大で最初の4年生の卒論受け入れを始めてから40年、定年後15年と、すべてにおいて節目の年ですが、RISESを通じて、多様な方々との交流・協働をすすめる中から、さらに勉強・研究もすすめ、時代の課題に取り組んでいけたら嬉しいです。 皆様の、さらなるご支援、ご助言を期待します。