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2023.01.27 ご挨拶

【2023年・年頭所感】重藤さわ子

 前例のないエネルギー価格の高騰と物価高が続いています。節電術、節約術がメディアをにぎわしていますが、生活者や事業者にとっては電気や食料という生活必需品を利用しないわけにもいかず、途方にくれる気分です。
 そもそも現在我々が直面している危機は、経済合理性を優先し、より安価で効率的な生産・分配方法を求めて、人々の生命維持の基本である食料・燃料さえも海外依存を過度に強めていったことによる、当然の帰結です。また、日本はまだ環境先進国だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、国別の「GDPあたりのCO2排出量」の1990-2019年の改善率は、日本は先進国40カ国中40位、「GDPあたり一次エネルギー供給」の改善率は、日本は40カ国中32位と、この20年間で、先進諸国のなかでも、大きな後れを取ってきてしまいました。
 そんな状況なのに、国民は節電・節約と我慢を強いられ、その先に、豊かで快適な暮らしがやってくるどころか、更なる苦境を強いられる、そんな流れは今度こそ、根本から断ち切りたいものです。
 欧州では、地域と生活を豊かにする、様々な省エネ・創エネ対策が当然のように講じられて来ましたし、豊かな先進国であっても、低所得者層ほど、エネルギー価格の変動は家計を直撃し、電気やガスなどの利用を控える「エネルギー貧困」に陥りやすく、基本的人権を脅かす問題です。そのため、省エネ・創エネを推進し地域のエネルギー自立を進めていくことは、公共部門が、公共サービスの充実や、社会的弱者の貧困救済のために、積極的に関与すべき事業として位置づけられています。
 2022年度は内閣府地方創生ゼロカーボン推進業務に携わり、さらに多くの自治体とも接点を持つことができましたが、やはり、欧州と比較しても、自治体を取り巻く状況は、特に脱炭素を地方創生が結びつくという確信に至るデータ的根拠、人材や知見不足を埋める、地域に寄り添い中立的立場で継続的支援を行う人材の不足について課題を抱えていることも確認できました。
 2023年度には、そういった課題にも、正面から取り組んでいきたいと思います。