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2022.01.01 ご挨拶

【年頭所感】堀尾正靱

新春のお慶びを申し上げます。
 昨年日本は、4月の気候変動サミットで、2030年までに、温室効果ガスを2013年比で46%削減すると表明し、一昨年10月に表明した2050年温室効果ガス排出実質ゼロ(ネットゼロ)目標に向けて、さらなる一歩を踏み出しました。実はこの目標は、気候変動対策政府間パネル(IPCC)が8月に提出した第6次報告書(第1ワーキンググループ分)が提示している削減課題、すなわち、2050年における温度上昇を1.5℃以下に抑えるための条件にくらべれば、なおはるかに緩い目標です。とはいえ、ようやく、産業界、学界、その他各方面で、またSNS上でも、議論や取組みが活発に行われるようになりました。
 しかし、いろいろな技術の目玉が並べられる中で、真の国益、真の地域の発展とは何かという視点がまだ十分議論されていない感があります。世界の先進各国は、エネルギー自立と産業構造転換のチャンスととらえて、新たな戦略的動きを見せています。我々もうかうかしておれない状況です。
 そもそもネットゼロは、日本にとっては、エネルギー自立へのまたとないチャンスです。ただ、商・工業、農業、運輸、家庭、金融のすべてのセクターの連携なしには実現できない課題でもあります。共生エネルギー社会の実装を目標にかげるRISESは、すべてのセクターを横断し、地域に根差した形で、この課題に取り組んでいこうとしています。
 昨年は、地域新電力の危機にどう立ち向かうか、電力需給調整を取り巻く技術的課題、再エネ促進のための金融環境などのテーマで研究を進め、成果を月刊事業構想ほか各種の媒体に発表してまいりました。また、営農型太陽光の国際会議(Fraunhofer研究所主催)にもポスター発表をしました。
今年は、設立以来3年目であり、本格的に地域の産業、自治体と連携し、啓発、現状把握、変革のシナリオ検討、具体的なプロジェクト化などを追及してまいりたいと考えております。
 また、個人的には、私が、通常の工学研究者の路線から、農工連携、さらに地域との連携による、再エネベースの社会づくりへと一歩踏み出したのが、東京農工大のCOE「新エネルギー・物質代謝と「生存科学」の構築」採択の2002年でした。その中で、地域環境エネルギー計画支援ツールPEGASUSなども開発しましたが、思えばなお道半ばです。
 本年もさらに大きく前進したいと考えております。何卒よろしくご支援ご鞭撻を頂ければ幸いです。