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2022.01.01 ご挨拶

【年頭所感】秋澤淳

 2021年は、日本が2050年にカーボンニュートラルを目指すという宣言が出て、社会が大きく転換する時代の分かれ目になったことを強く印象付けられた一年でした。以前は炭素税について反対色が強かったのに対し、現在ではカーボンプライシングが制度化される方がよいとの要望があります。過去は日本の内輪の発想で議論されていたものが、地球温暖化問題によって世界に引きずり出され、カーボンニュートラルにコミットしなければ企業活動が覚束ない状況となっています。地球温暖化問題とインターネットによって国のボーダーはなくなりつつあります。
 エネルギー消費に伴う二酸化炭素の排出を抑えるにはどうすればよいか。答えは明らかで、ストック型のエネルギー源ではなく、フロー型のエネルギー源に乗り換える以外にありません。それは、超長期の安定なエネルギー源に向けて、再生可能エネルギーへシフトしていくことに他なりません。
 一方で、二酸化炭素を出さないことにばかり注目がいって、エネルギーの使い方について十分議論がされないとすれば、本末転倒です。再生可能エネルギーを使う場合であっても、無駄な使い方は回避すべきです。言い換えれば、負荷を減らし投入を減らす省エネルギーが常に課題となります。将来のエネルギー政策の基本は、省エネルギーと再生可能エネルギーをいかに社会に実装するかです。再生可能エネルギーを使う上で何らかのエネルギーキャリアの形で貯蔵・輸送することはありうるでしょう。ネガティブエミッションがはやりのキーワードですが、当面の帳尻合わせ以上のものではないと考えます。持続可能な社会の形成は、再生可能エネルギーを基盤として自立することが重要です。
 エネルギーの自立を考える上では、やはり、地域を捉えることが大事だと思います。地域や生活圏はマテリアル・エネルギー・情報のネットワークで結びついています。地域ごとにふさわしいエネルギーの自立形態があるはずです。自分達が実は持っているものにヒントがあるのではないでしょうか。
 2022年が、カーボンニュートラルに向けて、地域ごとのムーブメントが起き、リーディング地域の取り組みが次々と現れる年になることを期待しています。